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連載開始とテレビ出演と新刊発売のおしらせ

      2017/10/23

先月末に八王子で行いました歴史講座「御館の乱と上杉三郎景虎」満員御礼の余韻に浸りながら、10月を迎えました。
講座 御館の乱と上杉三郎景虎
講座そのものは好評に終わり、受領したアンケートの集計も満足度の高い結果で、心より安堵しました。ただ、講座の冒頭で「氏政には実は兄が一人いたので、景虎は氏康七男ではなく、八男になります。つまり八番目の貴公子ですね。まさに、八 王 子です」と言ったときの空気の冷たさだけは、我ながら救いようがなかったです。
寒さが身にしみるなか、思い出しただけで心まで凍えます。
それでも世界の平和のため、少しでも懐を温めるため、日夜怠ることなく勤労に励んでおります。

さて、本日は厳しい冬を前にして、心温まるお知らせがみっつあります。

まずはひとつめ。
ご当地密着型歴史サイト『ユカリノ』で、特別企画「ゆかりの聲(仮)」を不定期連載スタートいたします。各地で専門家の皆さんにお話を伺っていく対談記事になります。
記念すべき第1回は、10月24日(水)の予定(多少ずれるかもしれません←26日になりました)。
なんと、あの特別展『上杉家の名刀と三十五腰』を開催する「埼玉県立歴史と民俗の博物館」さんのもとへお邪魔して参りました。

特別展の担当者で“才色兼備すぎる学芸員”さんから、特別展に関する貴重な「聲」をいただきました。こちらは“遠慮の無さすぎるキュレーター”と化して、ここまでお伺いしてもいいのかなと思うような質問を重ねました。にも関わらず、すべて気前よくお応えくださり、感謝の念に耐えません。特別展は11月3日から12月10日まで、開館時間は9時から16時30分(受付は16時で締め切り)、月曜休館です。
図録も見せてもらいましたが、充実度はかなり高いです。お楽しみに。

次に、ふたつ目。
先月の9月2日(土)に放送されたBS-TBSのテレビ番組『諸説あり!』「関ヶ原の戦いの真実」回が大反響だったため、再び同テーマでスタジオゲストにお招き頂きました。速攻で第2弾が作られるなんて、歴史番組では滅多にない快挙です。
放送は10月28日(土)夜10時から。もうすぐです!
今回も白峰旬先生と高橋陽介先生がご出演なさいます。いつもの「高橋無双」ぶりが楽しみですね。
石田三成と徳川家康の本陣、真実の勝利者に関する諸説をご紹介いたします。関ヶ原の戦い(慶長庚子の大乱)は調べれば調べるほど、驚きの真実が明らかになってきます。ご期待下さい(次回予告もお見逃しなく!)。

そしてみっつ目。
11月2日(木)に『戦国の地政学』が発売されます。

戦国の地政学

本書では監修を担当いたしました。
執筆される方々には、各記事のテーマとともに、あらかじめ踏まえておいて欲しい関連書籍や論文をお伝えし、さらにオリジナルの解釈で思ったことや感じたことを打ち出してもらうようお願いしました。おかげで、初心者向けの歴史本にありがちな「説明だけ」に終わらない個性的な記事が集まりました。

本書の目的のひとつは、合戦論の活性化です。単純に「面白い!」と思われるところもあれば、「ここは違うのでは?」と疑問を覚えたり、「へぇ、なんでこれまで誰も気づかなかったんだよ……」と興奮するところもあるかと思います。そして読後は皆さん同士で自分たちの考えを出し合い、史論をお楽しみくださることを願っています。

仮に、人より正しい見地、確実な解釈をもっていたとしても、自分だけの中に閉じ込めていては、面白くありません。中級者も初心者も恥ずかしがらず、思い切って自分の意見や考えを表に出してみましょう。史論は政治論や社会論と違い、鼻息を荒くした論客っぽい人が「FF外から失礼します」「あなたの意見は前提となる◯◯という史料の性格をよく理解していないので論ずるに値しません」と、ウエメセで足蹴にすることはありません。歴史界の上級者は「むむむ、面白い意見ですねぇ……」と、あなたの口舌をニヤニヤ眺めながら、「……次はこれを読むと面白いと思いますよ」と、あなたを沼へと引きずり入れようとすることでしょう。そうなれば喜んでずふずぶ呑み込まれてください。ゾンビから逃れるのではなく、ゾンビの手に捕まって仲間になってしまえば怖がることは何もありません。

男は度胸、女も度胸。「なんでも試してみるのさ」を合言葉に、こちら側へと足を踏み出してくださいね。そのとき、上級者も愛嬌の精神をもって暖かくお迎え下さい。頼みましたよ。
身も心も荒涼としていては、世界の未来は明るくなりません。

以上、よろしくお願いいたします!

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