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愛の関ヶ原本

      2018/03/11

この春、関ヶ原合戦をテーマにした共著を河出書房新社から上梓いたします。
共著者は高橋陽介先生です。

このお名前を聞いて、「おっ」と思う人もおられることでしょう。
関ヶ原研究では知る人ぞ知る有名人で、メディアやネットで話題を集め、学会の研究報告に出向くと即座に会場を満席にする注目株の専門家です。

高橋氏はあらゆる先入観を排し、一次史料だけで関ヶ原を見直せば、どのような歴史像が組み立てられるかという姿勢から、従来説に捉われることなく、まったくあたらしい関ヶ原像を展開しています。

わたしは高橋氏の諸説に触れるうち、これは真っ当に評価されなければならないし、そのための舞台を用意する必要があるとの思念が昂じました。言い換えれば、高橋説を社会に還元させなければ、日本史の大きな損失となってしまうと考えたわけです。

それで、あらゆる方面に働きかけたところ、河出書房新社さんと縁の深い編集者さんに興味をもってもらうことがかない、今回の共著上梓に辿り着いたものです。

本書は、これまで関ヶ原を愛してこられた方々に贈る、わが恋心を込めた直江状のようなものであり、特に誰よりも関ヶ原を愛するであろう高橋さんの熱意に捧げた告白状のようなものでもあります。「いや、気持ち悪いからそういうことを言うのはやめましょうよ」と高橋さんは苦笑いするかもしれませんが、想いが破れることを恐れて形にしないなど、わが愛の作法書にはありません。

高橋氏は、丹念に史料と向き合い、そこから精製された歴史像をストレートに提示しています。わたしも自分のなかで蓄積された歴史観・人物観をありったけ総論に注ぎ込んでいます。この合わせ技に触れたとき諸兄姉がどれほど感情をかき乱すか、まったく予想できませんが、きっと読後には関ヶ原に対する見方が大きく変わっているはずです。わたしも高橋さんが今回はじめて提示する本戦の初稿を一読したときは、度肝を抜かれました。すさまじい洞察力です。メインとなる高橋パートは、付箋と蛍光ペンを使って、ぜひ何回も読み返してほしいです。

また、関ヶ原をテーマに創作物を作ろうと思っている人は本書を介して複数の大作をなすことが可能になるかもしれません。司馬遼太郎が使った魔法の仕組みについても私見を開陳しています。司馬マジックの読み解きが、クリエイターの皆さんの参考になれば幸いです。

これからも、お知らせできることがあり次第みなさまに申し上げたいと思います。

続報をお楽しみに。

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