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「新グローランサを遊んでみる会」に参加しました

   

7月23日(日)11時〜17時、東京で行われた「新グローランサを遊んでみる会」に参加してきました。米国産TRPG「ルーンクエスト」のクイックスタート版(こちらから無料でpdfダウンロードできます)をプレイするゲームコンベンションです。

移動に思った以上の時間がかかり、「遅刻遅刻〜」と食パンを加えたまま電車に飛び乗りました。茅場町駅につくなり、ぴょいっと改札を乗り越え、会場の新川区民館へと向かいます(※この項目には一部事実と異なる表現があります)。

新川区民館

到着〜。

参加者はなんとっ総勢39名。な、なんだこの大人数……。これまでどこにこれほどのルーンクエストフリークが隠れていたのか!?

今回は主催者側がマスターとなり、6卓(7卓だったかも?)にわかれてプレイします。

私個人、ルーンクエストはもちろん、TRPGをやるのも実に20ウン年ぶり。しかもこんな大人数で見知らぬ人たちと集まって同じシナリオを遊ぶのはまさに初体験!

参加したのは、まりおんさんの卓。プレーヤーは5人。自分が使ったのはかわいいバイソンライダーのヴァサナを妹に持つアーナールダ娘ヤニオス。上昇志向の強いお姉さんは、妹を叱咤激励して、敵の群れに単騎突入させるお仕事を担当しました。

クイックスタート付属のシナリオは、舞台世界のグローランサらしさを強く感じ取れるもので、生活に根ざす氏族間抗争だとか、過去の歴史とか懐かしい神々の名前も出てきます。

シナリオ未プレイの方のため、一応ネタバレを抑えながら書きます。

導入は「泥棒どもから盗まれた氏族の牛を取り戻せ」ってところから。「なんだぁ牛かよぉ……のどかな話だなぁ……」と思ったら牛の頭数なんと60。そりゃただの泥棒じゃない。しかも見張りを殺され、犯人の詳細も不明という。こりゃ今の日本なら全国ニュースになるレベルの大事件で、蛮族社会でもそれなりに大騒ぎだろう。
犯行は族長不在のタイミングを狙ってなされたようだ。留守番の若殿さまやその周辺は顔色を変え、取るものも取り敢えず旅慣れた者たちで集まり、急ぎ牛の足跡を追うことに。
この先、なにが起こったかは詳しく言えませんが、些細なこと(?)から、大きな物語に繋がって世紀の大発見に至り、とんでもない化け物どもと出くわす展開には、胸踊るものがあります。途中、サービスカットを想起させる遭遇もありました(ヒント:第2版の表紙。む、これは答えを言っちゃったようなものかな)。

戦闘開始!

眼前に現れた怪物たちを騎乗攻撃で蹴散らし、その無双ぶりを見せつけるヴァサナ。剣より使いやすいぞと盾に重心をかけて、体当たりを繰り返すルナーからの亡命兵士ヴォストール。普段は弁舌爽やかだけど大事なときには口ごもりつつ、キメるときにはキメちゃう(宿敵にまさかの素敵な一撃必殺!)若殿さまハルマスト。頭脳を生かした脳筋戦闘で冴えるイサリーズ娘(のっけから頭に痛打を喰らったおかげで目覚めた?)のソラーラ。
よく見るとパーティ構成は女性が3人で男性が2人(今回プレイヤーキャラクターは最初からシナリオとセットで用意されている)。冒険者の過半が女性というのは少し珍しい。日本のゲームだと見栄えだとか萌えなどから女性比率の高い構成を見ることが増えましたが、あちらはまた別の事情がありそう。
最後、お牛さんは訳あって半分くらいしか戻りませんでしたが、憎き主犯だけは生け捕り、身内の者から身代金をふんだくって、美味しく締め上げました。めでたし、めでたし!

大きな戦果に満足顔のヤニオスさん

これだけ読んでも何がなんやらわかりゃしないと思いますが、私が満足したことだけ伝われば充分です。

プレイ中にボイスレコーダーを使っておけば、後から振り返るのによかったなーと思うくらい楽しいプレイでした。

クイックスタート版なので、ゲームシステムにはまだ未整備なところがたくさんあります。年末にはあちらで電子書籍の製品版が出るようなので、戦闘システムは見直してもらいたいところですね。
個人的にはとても懐かしかったストライクランク制。でも煩雑性を考えるとクトゥルフぐらいゆるく切ってもいい気がしました(もちろんあれば楽しいが、RQ90’sの例があるように無くしても問題ないだろう)。
武具の扱いは日本では馴染みの薄い第2版のシステムが採用されているらしく、聞いた話ては「盾で殴って短剣で受ける」ほうが有利なときがありえるのは、戦術の多様性が拡がって面白いと思いました。ただ、特殊な戦技がスタンダードで使えてしまうと傍目には奇異に映るのかなという不安も。
「ペンドラゴン」から持ってきたというパッションのシステムは、最高に良いです。これはクトゥルフのSAN値チェックみたいなもので、あちらは受動的にロールを強いられ、失敗したら正気度を失い、ショックで錯乱することがあるというシンプルなものですが、こちらは「(対象への)愛情」「(対象への)憎悪」「(対象への)忠誠」「(対象への)憎悪」「(対象への)名誉」といった形でそのキャラクターの個人感情がスキルのように設定されていて、受動的に行動を左右させられることもありますが、これらを能動的に原動力として「何々への〈愛情〉をもって、〈雄弁〉に訴えかける」などとスキルの補強に使うことができます。
実際やってみるまでは複雑そうに思っていましたが、使ってみると意外なほどシンプルで、ロールプレイにも熱がこもり、かなりエキサイティングです。これはクトゥルフやD&Dにはない、独自のプレイスタイルを生み出す新ルーンクエスト最大のウリになりうるんじゃないでしょうか。

セッション終了後は、経験値を得るかのように「評判」値(%)を得ました。これがどういう機能を持つデータなのか現段階ではまだ不明らしく、セッションごとにその高低を気にしながら、身の振る舞いを定めるものになるとしたら、パッションに並んで新ルーンクエストの肝となるところなのかもしれません。

呪文システムは使いやすかったです。ただ、最初からたくさん覚えすぎ!!
製品版で初キャラがこのクイックスタートのキャラクター並みに呪文を習得していたら、初心者には結構ハードルが高くなるんじゃないでしょうか。例えていうなら、一部の電化製品のリモコンで、製品の特徴を把握していないうちから、名前も効果もよくわからないボタンがたくさんあるようなもの。最初からそんなにあってもすぐには使いこなせない。はじめはホイミを覚えて、次にメラといった具合に一個ずつ身につけたほうが愛着と理解が深まる気がいたします。
物理攻撃が命中したとき、当たり先がどこなのか身体部位を決めるロールは久しぶりで、不安もありましたが、従来通り処理が簡単で、これはやはりとてもよかったです。なにより重要なシーン(戦闘で怪我をする/させるのは、かなり印象の強い出来事のはず)の情景が具体的に浮かび上がるのは大きい。また、部分鎧に意義が出てくるのもいい。「私は知識の神を信仰する学者の卵。ゆえにこのオツムは何よりも大切。鎧は重いからつけないけど、兜だけは被ります」って頭に青銅製の鉄兜を乗っけて戦っていたら、そこにモンスターの爪がガッと叩きつけられて、本来なら顔面がえぐれる一撃を軽い衝撃程度(それでも気を失う寸前)で事なきを得るなんてことも、ルーンクエストならではのドラマチックバトルシーンです(今回のプレイで実際にあった出来事。もしこれが防具を身につけていない四肢なら、骨折したり切り落とされたりして、戦闘不能になっていたかもしれません)。
ルーンクエストは、神話的な英雄になれる世界で戦うのですが、その戦闘は意外なほどリアルで、しょぼい武器がは簡単に壊れますし、衝撃力の強い攻撃を受けると後方に吹っ飛ぶこともあります。そしてそこから生じる出来事は、意図しない演出と試練を生み出し、プレイヤーたちをぐいぐいとその世界へと引き込みます。ルーンクエストの戦闘は、単なるヒットポイントの削りあいではないところにひとつの面白みがあります。

今回クイックスタートは以上の通り、順調に楽しめました。第二版と第三版のいいとこ取りにペンドラゴンやクトゥルフテイストの調味料まで加わっているためか、控えめに言ってもかつて日本語で流通した第三版より面白くなりうる起爆力があると思います。
製品版のルールはまだこれからです。でももうすぐ仕上げに向かうはずです。皆さんもできれば早めにプレイして、「移動フェイズっているの?」「弓矢の射程距離は厳密に決めてくれ!」「攻撃と受けは本当に一緒でいいのか?」など、思ったこと感じたことをSNSなり自分のブログなりで米国のケイオシアム社に向けて発信していきましょう。そうすればきっとすごいルーンクエストになって戻ってきてくれます!!

旧くから遊んできた古強者どもには、新たな参入者のために身を呈し、テストプレイヤーとなり、誰もが楽しめるルーンクエスト作りに一役買う義務がある。賛同してくれるなら、クイックスタートをダウンロードして、ぜひともプレイしてみて欲しい。

それでは皆さん、またのご機会にお会いしましょう!

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