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新刊案内:講談社現代新書『戦国の陣形』

      2016/02/21

戦国の陣形

最新刊『戦国の陣形』(講談社現代新書)、上杉謙信の誕生日である1月21日までには店頭に並ぶと思います。早いところでは19日から見かけられるかも。

本書では、これまで実態が不明だった鶴翼や魚鱗などの陣形運用、また巷間に有名な車懸りの真相を徹底的に追っています。先行研究も類書もないので、鮮度の高さは抜群です。とれたてぴちぴちをご賞味ください。

以下は大まかな目次。

[本書のおもな内容]
◆序 章 鶴翼の陣に対する疑問から
会戦と陣形/よくしられる「鶴翼の陣」のイメージ/陣形の基礎を見直す ほか
◆第一章 武士以前の陣形
七世紀後半ー律令制の開始ーとともにはじまった陣形の歴史/「三段撃ち」は鉄砲以前からあった/秩序ある戦闘隊形と隊伍/八世紀の兵種別編成/海外から輸入された「八陣」 ほか
◆第二章 武士の勃興と陣形の黎明
『太平記』に登場する「魚鱗懸りの陣」/「魚鱗」に控えて「虎韜」で取り囲む/「鳥雲の陣」に敗北する小楠公 ほか
◆第三章 中世の合戦と定型なき陣形
足利尊氏の軍事編成/武蔵野合戦ー300騎の「魚鱗」と3000騎余の「鶴翼」/中世における兵種別編成の萌芽 ほか
◆第四章 武田氏と上杉氏にあらわれた陣形
中世の軍勢から近世の軍隊へ/「鉄砲の伝来と浸透」による環境の変化/「足軽・雑兵の台頭」と歩兵の充実/山本勘介の「八陣」/戦国初の「八陣」あらわる/信玄の軍制改革と東国大名の先進性/村上義清の必勝隊形/正戦思想の上杉謙信/謙信の旗本編成 ほか
◆第五章 川中島・三方ヶ原・関ヶ原合戦の虚実
有名な合戦布陣を再考する/[1]川中島合戦の虚実/[2]三方ヶ原合戦の虚実/[3]関ヶ原合戦の虚実 ほか
◆第六章 大坂の陣と伊達政宗の布陣
大坂の陣勃発/伊達政宗の陣立/五段隊形の片倉隊とほぼ鉄砲のみの伊達隊/伊達政宗の片倉重綱に対する扱い ほか
◆終 章 繰り返される推演としての陣形
徳川時代によみがえる武田流「八陣」/現代にもよみがえる武田八陣 ほか

本書は特に「歴史にあまり関心ないけれど、SFやミステリーは好き」という方にオススメします。迷わず手にとってみてください。きっとお楽しみいただけることと思います。

世々に棲まう天魔たちと戦うための歴史本です。

 - by乃至政彦 ,